仕事と介護の両立、と言葉にすると何となくわかった気がする。でも実際に経験するまで、こんなにしんどいものだとは思っていなかった。
残業を終えて実家に行ったら、父が床に座っていた。
忙しい時期は、残業しないと仕事が終わらない日がある。そういう日でも、仕事が終わったら実家に寄るのが習慣になっていた。
ある日、遅くなって実家のドアを開けると、父が床に座っていた。
トイレに行こうとして、間に合わなかったらしい。おむつをしているのに、床に漏れてしまっていた。自分でなんとかしようとしていたけれど、何もできないまま、そのままそこにいた。
また別の日は、椅子から滑り落ちたのか、床に蹲っていた。別の日は、ご飯を自分でよそおうとして、茶碗を落として割っていた。
一人にしている間に、こんなことが起きていた。それを残業のあとに知る。
粗相をしてしまった父に、きつい言葉を投げかけてしまうことがあった。帰り道、運転しながら泣いていた。なぜあんなことを言ってしまったのか、と後悔しながら。
職場には、言わざるを得なかった。
介護のことを職場に話すのは、正直、嫌だった。
でも、言わないと休めなかった。病院の付き添いで有給を使うとき、理由を言わなければならない。父が入院していたとき、面会できるのは平日の日中だけだった。
お昼休みの時間を面会に行ける時間に合わせてもらった。昼休みに病院に行って、戻って、また仕事をする。そういう日が続いた。
上司は理解してくれた。それはありがたかった。
ただ、職場の人に色々聞かれるのが正直しんどかった。みんな悪気はないんだと思う。でも、なぜこんなに聞いてくるんだろうと思うこともあった。興味本位なのかな、と邪推してしまう自分もいた。
介護をしていない人には、わからないのかもしれない。でも当時の私は、なんで私だけこんな目に遭うんだろう、と思っていた。誰かに言えることでもなく、ただそう思っていた。
「在宅介護と仕事の両立」の、リアルな中身
実家に一度寄ってから会社に戻ることもあった。仕事が終わってから実家に行って、また別の用事で動くこともあった。
「仕事と介護の両立」というと、うまくやっているように聞こえる。でも実際は、どちらも中途半端になっている感覚がずっとあった。仕事に集中できない日も、実家に十分な時間をかけられない日も、どちらもある。
それが、在宅介護と仕事を同時にやっているということの、正直な中身だと思う。
おわりに
仕事と介護を一人でこなしている人に、「頑張れ」とは言いにくい。もう十分頑張っているから。
ただ、一人で全部を抱えなくていい方法を探すことは、諦めなくていいと思っている。職場に伝えること、使えるサービスを探すこと、少しだけ誰かに頼ること。
私もまだ模索中だけれど、同じ状況にいる人に、この記事が届けばいいと思っている。


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