今年も1月に、役所から父あての紙が届いた。「障害者控除対象者認定書」。
初めて届いた年は、何の紙か分からなかった。役所からの封筒は多い。介護保険の通知、高額介護サービス費の申請書、負担限度額の更新。どれも同じ顔をして届く。
この紙でやることは、確定申告だけだった。父は「特別障害者」の区分で、40万円が所得から引ける。申請はいらない。
父は要介護4で、特別養護老人ホームにいる。弟には知的障害がある。ふたりぶんの手続きを、私はひとつずつ調べながらやってきた。この紙も、そのうちの一枚。引き出しにしまうか、確定申告に使うか。同じところで迷っている方の役に立てたら嬉しいです。
「障害者控除対象者認定書」は確定申告で使う
役所が「この人は障害者控除の対象です」と認めた紙。使う場所は、確定申告の障害者控除の欄。
障害者手帳は持っていない。父が持っているのは要介護4の認定だけ。手帳がなくても、市町村が認めれば控除の対象になる。
ここは間違えやすいところなので、先に書いておく。要介護認定を持っているだけでは、障害者控除は使えない。
介護保険法の要介護認定を受けられただけでは障害者控除の対象とはなりません。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1185 市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について
要るのは、この「障害者控除対象者認定書」のほう。要介護1でも要介護5でも、市町村の認定を受けているかどうかで決まる。
父は「特別障害者」で、控除は40万円
紙にはこう書いてあった。
- 控除の種類:特別障害者
- 障害事由:知的障害者重度に準ずる
障害者控除には2段階ある。所得税で、障害者は27万円、特別障害者は40万円。父は特別障害者のほうだった。
40万円というのは、戻ってくる金額ではない。所得から差し引ける金額。実際にいくら軽くなるかは、その人の税率で変わる。
うちの場合は、この40万円に扶養控除の48万円が乗った。合わせて88万円、私の所得が減った計算になる。そのあたりは世帯分離しても扶養控除は受けられた話に書いた。
毎年1月ごろ、勝手に届く
私は申請書を出していない。毎年1月ごろ、役所のほうから送られてくる。父の分は「令和8年1月19日」の日付だった。
ただ、これはうちの市がそうだというだけ。市町村によっては、こちらから申請しないと出ない所もある。届かないようなら、役所の介護保険の窓口に聞いてみるのが早い。
要介護認定を受けているのに一度も届いたことがない、という方は、聞くだけ聞いてみてほしい。
e-Taxなら紙は出さない。ただし5年間は保管がいる
うちは確定申告をe-Taxでやっている。認定書の紙は提出していない。今も手元にある。
ここを勘違いすると危ない。出さなくていい=捨てていい、ではない。
国税庁のe-Taxのページには、こう書いてある。
添付を省略した書類については、法定申告期限から5年間は、保存しておく必要があります。
出典:国税庁 e-Tax「所得税及び復興特別所得税についてよくある質問」
出した日からではなく、申告期限から5年。税務署から提示を求められることがあるため。
私は確定申告の控えと一緒にまとめて置いている。
父の紙には「知的障害者重度に準ずる」と書いてあった
父は脳梗塞で倒れて、要介護4になった。知的障害があるわけではない。
それなのに、障害事由の欄は「知的障害者重度に準ずる」だった。
「準ずる」は、同じという意味ではない
準ずる、というのは「その状態に近い扱いをする」という意味。知的障害だと認定された、という話ではない。
国税庁のページにも、こう書いてある。
精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人
出典:国税庁 タックスアンサー No.1160 障害者控除(令和7年4月1日現在法令等)
この「市町村長等の認定」が、うちに届いた認定書のこと。(2)が知的障害者なので、「知的障害者重度に準ずる」という書き方になる。
どういう基準でどの区分になるかは、市町村が決めている。うちの父がなぜこの区分だったのか、役所から説明を受けた記憶はない。気になる方は、認定書を出した窓口で聞いてほしい。
私は、区分の名前としか思わなかった
紙に「障害者」と書かれることを、私は何とも思わなかった。区分の名前でしょ、という受け止め方だった。
弟のことがあるからかもしれない。
もし「親が障害者扱いされるのが嫌だ」という理由でためらっている方がいたら、これは役所の中の分類の話。父の暮らしは何も変わっていない。
デメリットは2つあった
「障害者控除対象者認定書 デメリット」で調べる人が多いらしい。うちの場合は2つあった。
ふるさと納税の上限が下がる
控除で所得が減ると、ふるさと納税で寄付できる上限額も下がる。
私はここで失敗した。所得が減ることを計算に入れずに寄付して、上限を超えた分は自己負担になった。ふるさと納税をしている方は、先に上限を計算し直したほうがいい。
年末調整に間に合わない。でも確定申告するなら関係ない
認定書が届くのは1月ごろ。年末調整はもう終わっている。
これが一番いやだった。会社の紙で済ませられない。
ただ、うちは医療費控除もあるので、どのみち確定申告をしている。年末調整でできなくても困らなかった。医療費控除やほかの控除で確定申告をする予定があるなら、このデメリットは消える。
「高額介護サービス費」とは別の制度
この記事を書くために思い出そうとして、私は自分で混ざった。
役所から来る封筒はどれも似ている。「申請書を出して、翌月に振り込まれた」という記憶があったのだけど、それは高額介護サービス費のほうだった。
あっちは申請して振り込み。こっちは申告して所得が減る
| 高額介護サービス費 | 障害者控除対象者認定書 | |
|---|---|---|
| やること | 申請書を役所に出す | 確定申告で使う |
| 戻り方 | 口座に振り込まれる | 所得が減って税金が下がる |
| 頻度 | 最初の一度だけ | 毎年 |
高額介護サービス費のほうは一度の申請で毎月数千円戻ってきた話に書いた。父の場合は毎月5,000〜9,000円が戻ってきている。
まとめ
- 「障害者控除対象者認定書」は、確定申告で使う紙
- 父は特別障害者の区分で、控除は40万円
- うちの市は申請なしで毎年1月ごろ届く(市町村によって違う)
- e-Taxなら提出しない。ただし申告期限から5年は保管する
- デメリットはふるさと納税の上限と、年末調整に間に合わないこと
介護のお金は、黙っていても安くならない。でも、届いた紙を捨てずに確定申告まで持っていくだけで変わるものがある。
うちは、この控除と扶養控除で、私の所得が88万円ぶん減った。手続きとしては、紙を1枚しまっておいただけ。
同じ紙を手にして「これ何だろう」と調べた方の、なにかの足しになりますように。


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