「特養に入居できて、ほっとした。でも、そのあと家族にできることって何だろう?」
父と義父、二人の特養入居を経験した私が、入居後にやってみた「暮らしを豊かにする工夫」の話です。うまくいったものもあれば、よかれと思って準備したのに空振りしたものもあります。今日はその両方を、書きます。
入居のときに準備した持ち物については「特養の入居で必要なものは?準備した持ち物・名前つけのコツ」にまとめました。今回はその続き、入居した「あと」の話です。
入居してすぐ、家族にできることは意外と少ない
まずは環境と職員さんに慣れるのが最優先
本人にとって、住み慣れた家から施設への引っ越しは、ものすごく大きな変化です。言いたいことも言えない、やりたいこともできない。想像するだけで、大変だろうなと思います。
だから入居してすぐの時期は、家族があれこれ足してあげるより、本人が環境と職員さんに慣れることが最優先だと感じました。
義父の施設も父の施設もユニット型(10人前後のグループごとに生活する形)で、ユニットごとに担当の職員さんが決まっていて、シフトも組まれています。毎日同じ顔ぶれなので、本人も職員さんと顔馴染みになりやすい。これは実父のときから「ありがたいなあ」と実感しているところです。
本人が「一番望むもの」は、家族にも本人にも分からない
じゃあ、慣れるまでの間、家族は何もしなくていいの?というと、そうでもありません。私も面会のたびに「何か喜ぶものを持って行きたい」と考えていました。ただ、これがなかなか難しいんです。
家での暮らしと施設での暮らしは違うから、何が今の義父にとって嬉しいのか、家族には分かりません。環境がガラッと変わったばかりで、たぶん本人にも、自分が何を一番望んでいるかは分からないんだと思います。
それでいい、と今は思っています。何を一番望んでいるかは、おいおい分かってくればいいこと。
うちの場合は、面会は週に1回。差し入れはいつも、甘いものか、切ってパックに入った果物です。特別なことじゃなくていい。「自分にできること」を淡々とやる。それが入居後の暮らしを支える一番の土台なんじゃないかと思います。
そのうえで、私がやってみた工夫を3つ。
やってよかった工夫①:ベッド横の手元スピーカー
耳が遠い義父が「よく聞こえる」と言ってくれた
義父は耳が聞こえにくく、テレビの音量がどうしても大きくなりがちでした。そこで、テレビに有線のスピーカーをつないで、ベッドの横に置きました。手元で音量を調整できるタイプです。
最初は操作に慣れるまで時間がかかりました。それでも今では「よく聞こえる」と言ってくれています。
職員さんからも「助かります」と言われた
意外だったのは、施設の職員さんからも「助かります」と言われたことです。
テレビ本体の音量を下げられたので、面会のときも会話がしやすくなった気がします。毎日お世話をしてくれる職員さんの普段の声も、テレビの音にかき消されずに伝えやすくなったんじゃないかな、と思っています(ここは私の想像ですが)。
本人のために用意したものが、まわりの人にも良かった。これは嬉しい誤算でした。
やってよかった工夫②:BS放送で「楽しみの予定」が増えた
大リーグに相撲、ワールドカップ。楽しみが途切れない
義父は大リーグ中継が大好きです。入居した施設では、テレビでBS放送が見られました。
実は入居前、少しでも気持ちが軽くなればと「施設でもBSで大リーグが見られるよ」と伝えてあったんです。だから本人にとっては「知ってた」ことで、感動の場面にはなりませんでした(笑)。
それでも「これから相撲も始まるし、ワールドカップもあるし」と、ちょっとラッキーな気分だったようです。好きな番組の予定が、この先もずっと続いている。それだけで施設での毎日に楽しみが増えるんだと実感しました。
BSが見られるかどうかは、施設によって違う
ただし、BSが見られるかどうかは施設の設備によって違います。テレビの持ち込みルールとあわせて、見学や入居前の説明のときに確認しておくのがおすすめです。
空振りした工夫:ノートパソコンの将棋ゲーム
自宅ではオンライン将棋をしていたのに、使われなかった
義父はもともと、自宅のパソコンでオンライン将棋や麻雀をしていた人です。だから夫(義父の息子)が、ノートパソコンに将棋ゲームを入れて持って行きました。「これで施設でも将棋ができる」と。
ところが、今のところ使っていません。クリックする力が弱くなったのか、細々した操作が年齢的に億劫になったのか、本当の理由は分かりません。夫が「使えや」と言うと「うん」と返事はするのですが、それでも使っていません。
空振りして分かった、「おいおいでいい」ということ
最初は「あんなに好きだったのに、なんで?」と思いました。でも、ふと思い当たったんです。私の母が、ある時期からご飯の用意を億劫に感じるようになったことと、似ているのかもしれない、と。
ずっと好きだったこと、当たり前にやってきたことでも、億劫になる時期はある。良かれと思って準備しても、使われないことはある。でもそれは失敗ではなくて、「今の義父はそうなんだ」と受け入れるきっかけになったと思っています。
パソコンは施設に置いてあるので、気が向いたときにいつでも使えます。本人の「したいこと」は変わっていくものだから、家族の工夫も、おいおい変えていけばいい。そう思えるようになりました。
まとめ:入居後の暮らしは、少しずつ豊かにしていけばいい
父と義父の入居を通して感じたことをまとめます。
- 入居してすぐは、環境と職員さんに慣れるのが最優先
- 本人が一番望むものは、分からなくていい。おいおいでいい
- 家族は面会や差し入れなど「自分にできること」をやる
- 工夫は空振りすることもある。それも本人の「今」を知るきっかけになる
これから施設を探すという方は、まず施設ごとの違いを知るところからだと思います。父と義父で経験した特養・老健・介護医療院の違いと、介護施設の種類と特養の選び方に書きました。
また、入居後に実際いくらかかるのかは「特養の費用・料金は実際いくら?」で、請求書をもとに公開しています。あわせて読んでみてほしい。


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