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“形だけだろうな”と思っていた介護施設の夏祭りが、想像とまったく違った。

施設選び・施設での暮らし

「形だけだろうな」と思っていた。

介護施設のお祭りと聞いて、正直そう思っていた。ちょっと飾り付けをして、職員さんが笑顔で対応して、それで終わり。そんなイメージだった。

でも行ってみたら、全然違った。

違ったのは、内容じゃなくて、職員さんたちの「本気度」だった。

入居者のことを考えて、5月に開催していた

案内を読んで最初に思ったのは「夏祭りなのに5月?」だった。でもすぐに理由が書いてあった。「例年夏に行っていましたが、暑さを考慮して今年は5月に開催します」と。

たったそれだけのことなのに、なんだか胸に来た。

お年寄りにとって真夏の炎天下は体に堪える。それをわかった上で、時期をずらしてくれた。お祭りの「形」より、来る人の体を優先した。その判断が、当日の全部に通じていた。

地元の消防団や職員さんが、本気だった

当日、私と娘で父を迎えに行った。施設の外には2台のキッチンカーが並んでいて、飲み物は無料で振る舞われていた。

プログラムのひとつは、地元の消防団による梯子登りの実演。高く伸びたはしごの上で団員さんがポーズを決める。入居者の方々が見上げながら拍手していた。

次は和太鼓の演奏。娘はずっと太鼓を習っていたから、私にはわかる。なあなあの演奏ではなかった。体全体を使って、全力で叩いていた。「本気でやってくれてる」とすぐにわかった。

そして、職員さんたちによる手作りの神輿。

「わっしょい、わっしょい」と担ぎ上げるたびに、神輿についていた飾りがひとつ、またひとつと落ちていった。周りから笑いと拍手が起きた。でも職員さんたちは止まらなかった。飾りが落ちても、構わず担ぎ続けた。

その姿がおかしくて、でも同時に温かくて。施設の外まで笑い声が広がっていた。

細かいところに、職員さんの気遣いがあった

各ユニットに担当の職員さんがついていて、入居者一人ひとりの様子をずっと見ていた。日差しが強くなってきたころ、体調が悪くなって途中で抜ける方もいた。そういう方にはすぐに対応していた。

写真もこまめに撮ってくれていた。入居者と家族が一緒に映った写真を、職員さんが自然な流れで記録していた。

「お祭りをやること」だけじゃなくて、「一人ひとりが安心して楽しめること」を同時に考えてくれていると感じた。

父が娘のことを覚えていた。それだけで、来てよかった

私は父のためにスイカを持っていった。父は「暑い」「疲れた」「横になりたい」と言いながら、それでもスイカを食べながらお祭りを眺めていた。

楽しんでいたのかどうか、正直わからない。表情はいつも通りで、感情を読み取るのが難しい。

でも途中、私がふと「娘が太鼓やってたから、演奏を見たいね」と声をかけると、父は答えた。

「今はやってないんやろ?」

娘が太鼓をやっていたことを、覚えていた。

それだけで、来てよかったと思った。

施設を選ぶとき、行事のことを聞いておけばよかった

父を施設に入れるとき、私は費用や立地のことは必死に調べた。でも「どんな行事があるか」「家族は参加できるか」については、ほとんど聞かなかった。

今日みたいな日があること。職員さんが全力で神輿を担いでくれること。太鼓の音が施設の外まで聞こえること。

こういう「日々の暮らしの豊かさ」が、入居者にとってどれだけ大切か、実際に来てみて初めてわかった。

施設を探しているなら、見学のときに行事について聞いてみることをおすすめしたい。費用や設備だけじゃ、見えないものがある。

私が父の施設を選ぶまでに調べたことは、別の記事にまとめています。特養の種類や費用のこと、世帯分離のことも書きました。施設を探している方に読んでもらえたら嬉しいです。

介護施設の種類が多くてわからなかった。お金がない中で特養を選ぶまでに調べたこと。

来年も、一緒に来られたらいいな。スイカを持って。

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