特養の申込書をもらいに行った日、施設の相談員さんに言われました。
「お父さんと弟さん、世帯を分けておいたほうがいいですよ」
世帯分離。その日まで、ちゃんと調べたこともない言葉でした。
やったことは、市役所の窓口に書類を出しただけです。お金もかかりませんでした。それで父の施設代は月55,000円下がりました。年にすると66万円です。
ただ、すんなり進んだわけではありません。役所に電話したとき、一度止められました。
父の介護と、知的障害のある弟。二人ぶんの手続きをしてきましたが、金額でいちばん大きかったのが世帯分離でした。うちがどう進めたかを、順番に書きます。
世帯分離で、父の施設代は月55,000円下がった
世帯分離そのもので、お金が戻ってくるわけではありません。下がったのは、世帯を分けたことで「負担限度額認定証」が取れたからです。
負担限度額認定証は、特養の食費と部屋代に上限をつけてくれる制度です。取れるかどうかは、世帯の住民税の課税状況や貯金などで決まります。世帯の中に住民税を払っている人がいると、対象から外れます。
だから、「誰と同じ世帯になっているか」で毎月の金額が変わります。うちが世帯を分けたのも、それが理由でした。
認定がないときは月147,000円。認定を受けたあとは月92,000円。差は55,000円でした。
世帯分離は、住民票の世帯を分けるだけ
同じ家に住んでいても、書類の上の「世帯」は分けられます。市区町村の窓口でできて、うちの場合は費用もかかりませんでした。引っ越す必要もありません。
家族をやめるわけでも、縁を切るわけでもありません。住民票の書き方が変わるだけです。
なぜうちに必要だったのか
父は年金暮らしで、住民税はかかっていませんでした。弟は、わずかに課税されていました。
同じ世帯のままだと、父も「課税されている人がいる世帯の一員」として扱われます。それだと、負担限度額認定は取れませんでした。
だから、父だけを別の世帯にしました。
役所の電話で「それは違うと思います」と言われた
先に役所へ電話しました。「施設の費用を抑えたいので、世帯分離をしたい」と、そのまま伝えました。
返ってきたのは、こんな言葉でした。
「そういうことのために世帯分離するのは、違うと思います」
電話を切ったあと、しばらく動けませんでした。ずるいことをしようとしているのかな、と思いました。
引っかかっていたのは、動機のほうだった
落ち着いてから、条件のほうを調べ直しました。
世帯を分けられるかどうかは、生計が別かどうかで決まります。父の生活費は父の年金から出ていて、施設代も父のお金。足りない分だけ私が足していました。書類で分ける前から、暮らしの中身としては別でした。
電話で止められたのは、私が費用の話を先にしたからだと思います。条件を満たしているかどうかとは、別の話でした。
それで、窓口へ行きました。
窓口では、書ける所だけ書いて一度出直した
窓口に行ったのは私です。まず書類をもらって帰りました。
家で書ける所だけ書いて、もう一度窓口へ。分からない欄は、その場で教えてもらいながら埋めました。全部書けていなくても、窓口で聞けば進められました。
手続きをしたのは、父のショートステイが決まったときです。手続き自体は、すんなり通りました。窓口で止められることもありませんでした。
効いたのは介護費だけじゃなかった
世帯分離は、医療費にも関係していました。
高額療養費制度には、月の医療費の上限があります。その上限は所得の区分で変わります。世帯に課税されている人がいると区分が上がって、上限額も高くなります。
父が入院していたのは、世帯分離を知るより前です。もしあのときに分けていたら、区分が一段下がっていたと思います。
あとから気づいて、けっこう悔しかったです。
デメリットは?うちでは特になかった
分けたあと、うちでは困ったことは起きていません。父の年金も、弟の生活も、何も変わっていません。
ただ、これは家庭によって違うようです。調べた範囲では、国民健康保険料の計算や、会社から出ている家族手当に影響することがあるそうです。
手続きと同じ窓口で、「うちの場合、何か変わりますか」と聞くこともできます。
地域密着型の施設は、住所変更が済んでいなくて落ちた
これは、うまくいかなかった話です。
地域密着型の施設に申し込むとき、最初は「入れるようになってから住所変更してください」と言われていました。
でも、施設の判定会議では、住所変更が済んでいないという理由で落ちました。
言われたことが途中で変わったのか、最初の説明が足りなかったのか、今も分かりません。
住所や世帯の手続きをいつ済ませておけばいいのか、申し込みのときに施設に確かめておけばよかったと思っています。
窓口の紙1枚で、毎月の支払いが変わる
- 世帯分離は、市区町村の窓口で書類を出すだけでした。うちは費用もかかりませんでした
- うちは負担限度額認定が取れて、月55,000円下がりました
- 医療費の上限の区分にも関係していました
- 住所や世帯の手続きの順番は、施設に確かめておけばよかったと思っています
うちは、あと少し早く知っていればと思っています。
父の施設代が実際にいくらになったのか、どんな書類を出したのかは、負担限度額認定証とは?申請のやり方と安くなった額にくわしく書いています。
介護保険の自己負担そのものが戻ってくる、高額介護サービス費という制度もあります。うちは父の分で、毎月5,000〜9,000円戻っていました。世帯分離とは別の手続きです。
同じところで迷っている人に届いたら嬉しいです。


コメント